高校時代 (S50代初期)

 中学1年で4石ラジオキットを組み立て、中学3年にアマチュア無線電話級をとり、中学時代は管球のラジオを作ることより私の工作歴が始まったような記憶です。その頃兄は高校で、友人にマランツ#7のプリアンプを作ってもらい、アンプはTRIOのKA-6000のメイン部を使っていたようです。管球のメインアンプを作ろうと思っていたらしく、アルバイトしたお金をためて、球を買っていたようです。
高校に入り、兄は大学で、私に白羽の矢がたちました。
その頃兄が買ってあった球は、DA-30(GEC) 6本、2A3(RCA) 8本、KT-88(GEC) 4本、76などありました。(購入先はサンセイ・エンタープライズ)兄はDA-30PPを作るつもりであったそうですが、私の意見で、KT-88PP(UL100W)になりました。(回路図)MC-275タイプのステンレスシャーシ(¥25,000)で購入、12BH7のカソードフォロータイプげ、FW-100-5Rを使い実態配線図どおりにくみ上げ、一度で問題なく鳴ったような気がします。今に思うと、何で100Wなのか。SPは山水のSP LE-8Tでした。
しばらく聴いているうちKT-88のプレートが赤くなっているとの報告(Ep=590V、Ip=48mA,、Ig2=2mA)
規格Maxで使っているので普及品のKT-88だからだと思い、(1本飛ばしたと思いましたが)その頃最高級といわれたGold MonarchのKT-88(今思えばGECの選別品なのですが)を購入。(1ペアー ¥14,700)
やはり規格では、プレートが赤熱し、トランスと返品交換した覚えがあります。(今思えばとっとけばよかった)
その後、解体、EL-34(三結)に作り変え聴いていたような気がします。

大学時代 (S50代中期)

大学に入ったときに、その頃、トランジスターでA級アンプが可能とのことで話題になった、YAMAHAのCA-1000Uを購入。下宿で聴いていましたが、薄っぺらな音に満足できず、U-808を購入、家に有った2A3でロフチン・ホワイトアンプを作り、結局、プリアンプもLUXのCL-32のキット版A-3032を購入。
この、組み合わせで聴いていました。この頃、A-3032の、コンデンサーをオレンジドロップに交換したり、抵抗をローノイズ、EQを銅箔スチコンにしたり色々いじりましたがかえってバランスを崩してしまった感じがしました。

LUXプリアンプ CL-32のキット版 A-3032

就職後、自宅に持ち帰りましたが、線が細く、あまり使わなかったかな。
キットオリジナル初段(EQ)は、Mullard、あとはLUXマークのNEC製だと思います。

基板式であるのであまりいじれません
ただ、デザイン的には好きなほうです。

就職してから (S58頃〜)

この頃、メインはムラードタイプKT-88(三結)だったと思いますが、この頃三栄無線より、KT-88Gold Lion (S58)1ペアー¥17,500で購入しました。アンプのほかに、スピーカーをTANNOY SRM-12X購入。プレーヤーはLUX PD-310、アームはFR-64fx等アンプ以外に色々買っていたので、プリアンプの作成を結構やっていました。家では、LUX CL-32でしたが、少々線が細く、S.R.P.Pのプリを試験的に作り使っていました。EQ部は、大体決まっていますが、フラットアンプ部は、カソードフォロアー、NP-8のトランスアウト等試していました。
2A3のロフチンを下宿より持ってきましたが、アンプは何緒。300Bを作りたかったのですが、当時のノートからはWE-339A(三結)の計画がありました。最終的には入手できず、300Bに手が伸びます。
右は、友人に頼まれ、LUXキットのプリメインアンプA1033 EL-34PP(三結またはUL)を有給をとって、作った記憶があります。LUXのキットは2台作りましたが、やはりセンスはいいですね。音は、現代的だったと思います。

WE-300Bに挑戦(1) (S62頃〜)

A-1033の製品版 LX-33 (¥138,000)
デザインは近代管球アンプで斬新です。

管球アンプ派なら誰でも憧れの300Bに挑戦しました。84年製だったと思いますが、2本入手しました。この頃はオールドとかBELLなどということがよく解らずただST管の大きさにびっくりしました。KT-88やDA30などは家にあったのですが。回路はというと当然91Bタイプです。同時に310A(オールド、スモールパンチ)も入手しました。整流管は274Bといきたい所ですがこの頃は整流管は消耗品だと思っていました。異常に高く手が出なく5R4GYを使いました。5Z3は品がなくあまり好きではありません。
トランスはタンゴを使用しました。PT MS-200CTA、OPT FX-50-3.5S、チョークMC-15-150D
フィラメントははじめからDC点火としました。シャーシはこの時はSL-10を使いました。
ブロックコンは日コンゴールド、チューブラーはスプラグ39D、カップリングにウェエストキャップを使っています。線材はベルデン。
出てきた音は期待道理といきたかったのですが、聴き込むうちに、聴き疲れしてしまい、こんなことはない。と、思いつつH3年ごろ(5年間)まで格闘しました。最後に佐久間もどきのプリメインで300Bとは最後になりました。
この頃並行して、2A3のロフチン・ホワイトも作っています。
WE-300Bに苦戦(2) (H1頃〜)
こんなはずない。と、ここから始まります。どこがいけないのか。誰もがいじるところは決まっています。
カップリングコンをビタミンQ、整流管から出たコンデンサーをオイルコンに交換。310AのSGの安定化。
整流管の交換。カップリングコンの容量変更。OPTの交換(F-2007、XE-60など)決め手に欠きました。91B回路とお別れしました。
300Bのドライブ方法の検討に入りました。こうなるとトランスドライブしかありません。トランスですがとてもWEやFerrantiなどには手が出ませんのでやはりタンゴとなります。
最初はNC-15の初段は6SN7WGTのパラ、初段のパスコンにはフィルムのMKコンを使っています。この後スプラグの銀タンに変更。
トランスドライブの割には中域が薄い。F-2007では音が柔らかくなりすぎ、1音1音がはっきりしない。ホーン、ペットなどはよいが、ピアノの抜けがいまいち。
この後、初段を76に変更。中域はよく出るようになったが、ぼける(音像大)。その後佐久間氏が76より良いと薦める37に変更。こちらのほうが音がしまり、ぬけも良くなった。やはり増幅度の小さい球のほうが良いのか。この期間が一番長かったのではないかと思います。
その後、NC-18に交換(2次側パラ)、グリッドリーク抵抗の調整(47K〜220K)、クラーフ結合等いろいろやりました。
トランスが余ってくると (H2頃〜)
300Bで試行錯誤しているうちにOPT、段間トランスが余ってきます。この頃佐久間式アンプを「無線と実験」誌で見るようになり、なかなか面白いなと思っていました。TAMURAの段間トランス(A-351,342など割合安価でしたので)結構使いました。
この頃が一番アンプを作った時期だと思います。球もこの頃かなり購入しました。71A、46、45(かなり高くなっていましたが)、37、ECC32、5691、5692、ML-6、ML-4各種整流管83、5R4WGA、53U、プリ用CV4004、4003
「魅惑の真空管アンプ」に載っているような古典管の作成。ほとんどが試作程度でした。
OPTにU-808があったのでまず76、37ドライブのシングル71A、45アンプ
6N7をフェーズ・インバーターとした46PPこれはいい音がしました。
その後トランス結合、初段37、TAMURA A-351 71App、45pp
それぞれ特徴がありみんなとって置きたいのですが、スペース上、次を作りたいとの感情で解体してしまいました。特筆すべきは、45の音で中域から、高域にかけては非情に澄んだ音がしましたが、低域が物足りないということで常用となりませんでした。
最後の300B (H3頃〜)
300Bは合計6本購入しましたが、この頃になると佐久間式アンプに興味がわき、回路自体非常にシンプルでトランスさえ確保できれば(この頃TAMURAのトランスが結構たまってしまったので)やってみようかと思いまして、どうせならパワー管ドライブのプリメインアンプの計画を立てました。シャーシはジュラルミンの自作ができたので重量的には心配ありません。回路はできるだけシンプルに。佐久間氏のアンプの部分部分を組み合わせて作りました。(佐久間式もどき)
入力トランスTSK-27(DL-103)、5691、VL-208、CR型EQ、5692、A-351、VR、EL-34(T)、A-342、300B、F-2007、 PT PC-3004、83、A-4004(2段)、C-Dオイルコン
300Bトランス結合プリメインアンプの配線
配線の要点はアースの落とし方のようですが、一応ハムは出ませんでした。
初段ヒーターにチョークを使用しています。
EQ、カップリングは日ケミが基本ですが、音が沈みすぎ、カップリングはERO、EQはST-LXを使っています。
初段5691のパスコンはスプラグの銀ウェットタンタルを使いました。
後はドライバー出力管を交換し自分の好みの音に仕上げました。
この頃2回目のDA30も組みました。EL34(T)、A-342、DA30、F2007
やはり米国系とは違う柔らかい音がしたと思います。もう少しパンチの効いた音を望んでいたようで、あまり追求しなかったようです。TANGOで組んでいたらもう少し違ったかもしれません。またドライバートランスもTAMURAのA342(安価なので)ばかりでしたので。しかし、欧州系の球は刺激のない力強い高域を持っています。

その後、安斉氏がDA30の十分代わりとなるということでPT15/VT104(T)を紹介していますが、この球はトッププレートの業務用送信管で6本ほど購入しトランスドライブで作りました。DA30に比べるとちょっと硬いですがなかなかいいです。400V程度で使いましたが、もう少しかけたほうが良かったかもしれません。
プリアンプの試作 (H4頃〜)
この頃はメインアンプはほぼ在庫の球は作ってしまい、面白そうな球もなくプリアンプ作成、試作にかなり熱中しました。
自作し始めの頃は、マランツ#7やマッキンC22タイプが主だったと思いますが、実際その頃の記事は#7などを参考にしたものが多かったと思います。記事自体はどんどん新しい球が欧州より入ってきて、メインアンプの作成記事が多かったと思います。
最初に作ったプリは、安斉氏のS.R.P.Pの実験的な記事でEQはCRタイプでした。利得計算が主の記事だったと思います。(’75頃)CRタイプのほうが回路自体簡単で部品交換の楽しみがありました。
EQ部は測定機器等全くなく、ほとんど耳による調整です。終段はカソードフォロアーでしたが、トランスアウトにしたり、S.R.P.Pにしたりいろいろ試しましたが、結構長く聴きました。
常用として作った2作目は、松並氏の記事でWE310Aを使ったCRとNF型のアンプでしたが、310Aが何本かありましたので試作をかねてCR型を作りました。初段がWEとはいえST管ですのでハム、ノイズ等心配したのですがびっくりするほど低雑音でした。音も太く気に入りました。ただ記事通りですと、フラットアンプが大げさでさすがに作れず、ML-6を用いたトランスOUT(タンゴNP-8からNC-18パラ)に落ち着きました。この辺はシャーシ作りがほとんどメインアンプのようなので結構いろいろ試せました。
その後、佐久間式にも興味がありましたのでTKS-27 初段5691 VL-208 EL-34(T) A342 EL-34(T) A-4714の構成で作ってみました。ラッパのぬけはすばらしいものがありましたが、利得が高すぎハムが取りきれませんでした。
その後、面白い回路と見つけたところクォード22型に惹かれ、EQ部は本来のEF86で試作最終的には6SH7にしました。(MT管より太く抜けがいいと思います)フラット部はEL-34(T) A-4714となりました。
また初期に戻りC22タイプを計画していたところC-22のレプリカが発売になり買ってしまい、そのままとなっています。音はそこそこですが、まあデザインを買ったと思って使っています。
個人的には今まで作った中では310Aのプリが一番思い入れがあります。
 
RCA800 (H4頃〜)
「無線と実験」誌にRCA800を使ったシングルアンプ(ポジティブ・カソフォロ・ドライブ回路)の記事が載りました。RCA800という球はドライバー段の音をそのまま通すという球(普通は2〜3割、800は7〜8割)で45ドライブのシングルアンプでした。作者の宍戸氏は800番台の球を考案したイントラ反転回路で801A、808、811Aを使ったアンプは記事で知っていました。特に808は特筆で、ある人などすべてこれに代えてしまったとか、、アンプ作りはこれで終わったとか。これに使われていた6GA4が高騰したなどの話がありました。特にこのアンプは、45の高域と50の低域を持つということで、目指した目的にぴったりでした。45の低域を何とかしたい。

1台作りたいなと思っていましたが、球を購入した上(記事が出るとすぐに値上がってしまう傾向にある)、トランスはすべて特注なのでなかなか踏み込めませんでした。そんな時、ある人から宍戸氏の800ppアンプを作るために購入してあった800を割合、安価で手に入れることができました。
こうなると一気にトランスを特注し、一気にくみ上げました。初段は6BQ5の5結、45はAC点火と、ノイズ、ハムが心配でしたが、驚きました。静かです。部品はすべて、記事どおりのものを使いました。これは、何(JAZZ60年代まで、ボーカル等)を聞いても、バックが静かで、音が浮き出る、サ音がまったく気にならない。自分としては、不足なものがありませんでした。いじる所がありませんでした。宍戸氏のファンになりました。

その後征矢氏が「MJ」誌で811Aを使った(直結ダイナミックカップル方式)シングルアンプ(6K6ドライブ)を発表し作成しましたが、最終的には宍戸氏の811Aのイントラ反転回路に作り直しました。、こちらのほうがパワーがありますが、高域の繊細さは800の方にあります。811Aですがロシア製ですが、作りもよく、CETRONの811Aと比べても遜色ありません。幾分CETRONのほうが繊細ですが。
RCA800 下から
RCA800  上より
スパイラル状のフィラメント
左より6BQ5、RCA45、RCA800

6BQ5は一応Siemensマークですが、東欧製だと思います。
本来ならECCナンバーと思いますが、笑えます。ペアーで1500円程度ですが、特に問題なく普段なら全盛期の球を見つけようとするのですが、今回はその必要性を感じませんでした。
CETRON 811A(左)とCCCPの811A

ほかに中国製などもあるようですが、それよりロシアのほうがましでしょう。
CETRON 811A トップ部
CCCP 811A 下より